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100首 2007

CoM0 TrB0
001:始
 銃口はあなたのほうを向いている 心理テストのような始まり
002:晴
 シャキシャキと鋏を入れる スクリーンの向こう側の景色は晴れだ
003:屋根
 なにごとも向き不向きってものがあり屋根の瓦でタイヤキを焼く
004:限
 リンゴ型時限爆弾朝9時にセットしてボンバーなベッドで
005:しあわせ
 しあわせの野良を拾った 牛乳を沸騰させぬよう温める
006:使
 トモダチノワを作るとき使われてないほうの手を僕にください
007:スプーン
 スプーンを支える指にバリトンの温度のシチュー触れ響きだす
008:種
 アボカドの種あたためる鳥たちよ(何も生まれてきませんように)
009:週末
 週末もヒトの散歩を欠かさない生真面目なカメ干からびている
010:握
 古井戸の金魚を追った黄昏に握り返されている指先
011:すきま
 絶筆の冒険譚の「その後」を待ち続けてる書棚のすきま
012:赤
 ごめん今ふさがってるから目で会話。ことばは赤い苺、こぼれて
013:スポーツ
 ひたひたとよせかえるスポーツドリンクの海原の底沈む文明
014:温
 年上の女性がくれた生温い水鉄砲の水を浴びつつ
015:一緒
 一緒とは一組のこと 一組は一人にも似てさびしいふたり
016:吹
 ピアニカに春の嵐を吹き込んで緑の原を駆け回りたい
017:玉ねぎ
 玉ねぎの髪結い上げてお姫さま 世界不思議発見的RPG
018:酸
 胃袋を引きずりだせば鮮血は空気に触れて酸化してゆく
019:男
 前世はきつねであったに違いない男の子すすきを抱えて走る
(※男の子=おのこ)
020:メトロ
 皮膚うすき人のメトロは猥雑な経路を我の前にさらせり
021:競
 少年は背伸びしたその高さまで若草競う健康診断
022:記号
 春色の記号ぱらぱら咲いたので本に挟んで押し花にする
023:誰
 誰と手を繋いでいたのかわからない 雨降る気配の漂う夕べ
024:バランス
 栄養も(恋も)バランス。喉奥に詰め込みすぎたカロリーメイト
025:化
 ドラえもん冷温庫には封を切った化粧水の瓶何本かあり
026:地図
 境界はやがて溶けゆく 模造紙にミルクを零したように白地図
027:給
 給油口開けっ放しで走ってた 海へ向かってまっすぐ西へ
028:カーテン
 ちくちくと針をすすめてカーテンのひだひだのように縫われた時間
029:国
 定形外郵便物と間違えて投函された猫たちの国
030:いたずら
 いたずらに髪を編みこむ 癖のない女性に少し嫉妬しながら
031:雪
 街中の洗濯洗剤買い占めて雪に見立ててばらまけばよい
032:ニュース
 「ルイジアナ州にて美女が大量に発生しました」と深夜のニュース
033:太陽
 『火の鳥』の太陽編を数ページ千切りて我の恋文となす
034:配
 交代でするおるすばん遅配しているガーベラに心残して
035:昭和
 昭和めく軽トラックが引越しの荷物を運ぶ春の農道
036:湯
 湯浴みせばコロン静かに揮発して役目を終えし瘡蓋となる
037:片思い
 片思いしたことのない思春期にうっすらと削ぐ鉛筆の芯
038:穴
 拝啓、あたしは蜜を溜め込んだ巣穴にもぐる日々であります
039:理想
 夏草は夏の理想に近づいてポポンと種を弾き飛ばした
040:ボタン
 ボタン箱にはとりどりのボタンあり この子はいちご味だと思う
041:障
 山かげは朝な夕なにもぞもぞとうごきつづけて障子シアター
042:海
 きみの耳から海の国 舌を挿し塩辛い水そっと吸い出す
043:ためいき
 生ぬるい沼地に足を踏みだせばだらしなくでてしまうためいき
044:寺
 金閣寺テンポー(嫋嫋)こだまする夜上弦の月は呼んでる
045:トマト
 細く火を絶やさぬままの台所でトマトソースが煮詰まる気配
046:階段
 鼻先をかゆがる犬の面もちで階段に座り込むこいびと
047:没
 没シュートされたヒトシを追いかけて 世界不思議発見的アリス
048:毛糸
 あやとりをするためほどくセーターの青の毛糸は海へつながる
049:約
 風船で測る体積 愛ってば約分したら消えてしまった
050:仮面
 暖かな国ではなくて花もなし仮面を売って暮らしています
051:宙
 声帯を震わせているナレーター ノイズ交じりの宙を隔てて
052:あこがれ
 あこがれの履歴一位を塗り替えるみかん星人冷凍みかん
053:爪
 爪を噛む癖は治らずゆっくりとミルクレープの重なりを剥ぐ
054:電車
 人は皆となりの人に寄りかかり電車の箱のわずか傾き
055:労
 労せずに得た快楽だ夕暮れの鳩にくれても惜しくはないさ
056:タオル
 はつなつの氷枕もゆるむ夜にタオルケットを隔てて眠る
057:空気
 肺に溜めた空気を少しづつ逃がす もっと遠くへ行ってもいいよ
058:鐘
 未届けの妻と書類に記すとき市役所の鐘正午を告げる
059:ひらがな
 ひらがなのとぎれとぎれの告白はしずかのうみの波にさらわれ
060:キス
 キスを待つような心地で鏡台の向こうの我は目を閉じるのか
061:論
 上弦の月に諭され帰り道 子猫を拾うのをあきらめる
062:乾杯
 乾杯は軽めの酒で 駆け引きは甘めの嘘で 落としてあげる
063:浜
 浜風に弄られし髪うしろ手でざっくり束ねトラックの窓
064:ピアノ
 クレーンでロココ調家具吊り上げて 私はピアノに乗ってゆきたい
065:大阪
 大阪を不問にするとしてもなお眩しきものに影は寄り添う
066:切
 真夜中の切符売り場に月の影 猫に鋏を入れたのは誰?
067:夕立
 夕立に飽和していた悲しみは濾過しきれずに街に溢れた
068:杉
 まっすぐな影を生み出す杉林に閉じ込められた旅人の旅
069:卒業
 閉店の音楽が鳴り 少年を卒業すべき時間だと知る
070:神
 影を生む木々、ビル、光、秋の風、信号の赤、歴史、神さま…
071:鉄
 雨脚は強まるばかり 革靴を鉄鍋で煮る老婆が笑う
072:リモコン
 リモコンの電波飛び交う戦場でおにぎりだけがアナログのまま
073:像
 時計から正午を告げに飛び立った偶像でない鳩たちの群れ
074:英語
 行き倒れた旅人のため重箱に英語を詰めて売りにゆきます
075:鳥
 恋文を鳥目の鳥に結びつけ月が明るい夜に放てば
076:まぶた
 ぽとぽととまぶたを叩く音がして窓のそとには冬がきていた
077:写真
 写真館だった建物 この街が遺跡になる日までのたそがれ
078:経
 口の周りを燐粉まみれにさせながら経済白書をがなる蟷螂
079:塔
 ポスト鳴る まだほの暗い街を背に給水塔が生み出した蝕
080:富士
 クレパスに水彩絵の具滲ませて車窓に富士の高嶺を仰げば
081:露
 朝露を集めて醸す酒のごと手に入れがたき恋ひとつあり
082:サイレン
 人波に逆らって午後 西へ向かうサイレン・カーを見送っている
083:筒
 あなたへの想い滲ませ封筒にワイン注げば糊代苦し
084:退屈
 退屈にまみれてふたり 内装は白で統一している部屋で
085:きざし
 青嵐のきざし吹き荒れ 痩せた背に浮かぶ肩甲骨の感触
086:石
 墓石に座って文字を彫る人と缶コーヒーを回し飲みする
087:テープ
 さらさらとビニールテープ縦に裂きひかり銀河にさらわれてゆく
088:暗
 抒情詩が雨の気配を予言する冬の午後 闇 温室の百合
089:こころ
 つぎはぎの肌か肌着か 目に見えぬこころが綺麗ならそれでいい
090:質問
 寿司折と質問状を携えてさくらばな咲く古墳の丘へ
091:命
 いきものの繭を煮出して糸をとる 命は草の露に染められ
092:ホテル
 白線の内側で守られてる人とホテル暮しの長さを競う
093:祝
 よく晴れた初夏の日差しを花束を祝福をいま、旅立つきみに
094:社会
 はみだした肉を鑢で削りあげ社会の靴に押し込める朝
095:裏
 ジャケットの裏地にピンで留められた揚羽の闇のもがく苦しみ
096:模様
 塗り替えたばかりの壁に靴跡が模様となって空へとつづく
097:話
 このドアがいつか神話になる日まで眠り続ける金色の鍵
098:ベッド
 さようなら 旅人たちにあたたかなベッドが約束されますように
099:茶
 茶話ひとつ短いうたを添えて出す五蓮金花の開きゆくまで
100:終
 ケータイを振れば電波は通じると信じてる子供たちの終末
100首  2007.11.06
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一ノ関 藍子 (A.I)

Author:一ノ関 藍子 (A.I)
短歌を詠んでいます。
同人「歌クテル」はおやすみ中です。

あたらしいパソコンを購入したので、
たまには更新しようかなぁ、と思っています。

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